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2005年8月

ヒトという字は

支え合っている形とか、もたれ合っている形とか。
でも形より前に音がある、と思った。

ヒト リ

どれだけ心を通わせようとも
どれだけ目の奥を見つめようとも
足元を見れば、重力と戦っているのは
自分の二本の足である。

例え身を寄せ合おうとも
例え肩を貸し合おうとも
過去を抱え未来へ向かうのは
この身一つである。
何も連れていけない
何も連れていかない
何も、いらない

母親の身体から離れることを生まれる、といい
生きるということは
一であるということで
人であるということである

しばしの間触れ合った指も
しばしの間借りた肩も
感謝こそすれ
永遠にそこにあると錯覚してはいけない
道は別れ
道は曲がり
誰かと交差し
どこかへ辿り付く
誰も行けない場所へ
ヒトリだけの場所へ

いつか道が終わるとき
行き止まりの扉に手を付いて
膝を付いて倒れ込むのか
二本の足で回れ右をして
歩んだ道を抱き締めるのか

その時に、何ができるヒトであるか

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ザギン・ザ?

雲と風の塊が去った
噎せ返るような湿気と潰されそうな圧迫感が残った
最も地価が高いらしい街

嵐の余韻と週末への解放感と夏への惜別を込めて
行き交う男たちと女たち
目の前の大気をかき分けて
その先の笑顔を予測して

夕闇の天井がひっそりと街を包む
アスファルトの下にもまた人が行き交う
私の知らない人たち
私を知らない人たち

上から巨大なごみ袋をかぶせて
そうっと海に流しても
きっと誰も気付かない
壁を照らす灯りが消えるまでは

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人生って

一度きりしかないから、とか
そんな常套句はいらない
ただ何かが、あればいい

たぶん私はものすごく運がいい
姓名判断で命名されただけのことはある
なんだかんだいって、渇望してないことも
向こうからネギカモしょってやってくる
そう、渇望してたわけじゃない
そんなエネルギーは持ち合わせてない

ピンクの傘を差して
好きな速度で歩く
ちょっとくらい寄り道しても誰も咎めない

条件は満たされている
望んだよりもずっと
あたたかい大人たちと向いている仕事
あるらしい能力と生きていけそうな社会
「社会」に行くと「安心」の処方があるなんて知らなかった

でも満たされていない
何かの部分から漏れ出しているエネルギー
引きずるヒールのかかとの跡は
虚無の世界のワープホール

この身体を使いこなせるだけの力を
明日だけでなく、明後日も10日後も半年後も
まだ消え去っていないと確信できる
確固たる存在感を
一番身近なこの身体にだけ、感じられないなんて
そんな人間が、運だけを持ち合わせてるなんて
なんて不公平なんだろう

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カタガキ

社名じゃなかった。

他のどんな文字よりも書き続けた、4文字。
なんだかカクカクしてて左右対称に近いバランス。
その4文字の前に、何やら見慣れぬ2文字。

ん?

「言己 土ノ日」

……これじゃ5文字なので。

「記者」
で。

入社2日目
まだ右も左もわからないんだけど
そこに書いてあるメールアドレス、まだ使えないんだけど
ものすごーい量の名刺の束。

いやぁ。
照れるね。
意外とうれしいもんだね。
ふふ。
がんばらなきゃな……


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社会人

どの条件が揃ったら、そう呼べるんだろう
売れない作家は?ナンバーワンホストは?道路工事のおじさんは?
不明。

まぁ、とにかくよくわからないけど
何でかとんとん拍子に決まっちゃったことだけど
やるしかない、よね。

今日までのニュースで取り上げられたら
「25歳女性」
明日からは、枕詞が付くということ。
それだけ。


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ライチ

栗にも似た厚い皮に覆われた
真白
その中に隠れた茶色なんか感じさせない
上顎に張り付く苦味の存在なんか気づかせない

缶に描かれた皮は赤かった
嘘と誤魔化しに満ちたこの世界

缶の中身の成分は
果汁よりもアルコールが勝る

3分の1を飲み込んだ勢いで
打ち込んでしまったコマンド
勢いが裏目に出ずに済んだ時代はとうに過ぎたと
知ってた、のに

気づいたときには傾ける意味がなくなっていて
握り潰したい衝動と勝負してた

次はライチが嫌いになるんだ、きっと

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足元から崩れ落ちそうになる

待ち合わせして
食べて喋って
笑って
その時々の自分に嘘なんかないのに
きっと大丈夫だと思ったのに
手を振り合って
1人になった瞬間
1mの範囲だけ地面が消失した

でも三次元の世界から逃れることなんかできなかった
途方に暮れた
どこに行けばいいんだろう
どうやって帰ればいいんだろう
帰るところは本当にあるんだろうか

一生懸命出かけられるように支度をしたのに
腕が日焼けすることに構えなかったり
笑い声が喉から出尽くした瞬間に
音にならない叫び声が出そうになったり

「大丈夫、笑える」
そんなおまじないの効き目は切れて
同じ暗示にはもうかからない

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雷雨

土手を自転車で走り抜けた
右も左も前も後ろも
何もない空間がいっぱいあった

地面からまっすぐ天上へ向かう草も
ひたすらに目の前の空間に足を進める犬も
濁りながら懸命に海に向かう水も
無心に、ただ前向きに
次の瞬間へと進んでいくのに
草よりも犬よりも水よりも速く進む私は
何も、何にも見ていない
形と色を認識してても
何の感銘も感情も湧いて来ない
それは
ここにないものに囚われているから

何も感じない身体に脅威を覚えて
右手後ろから少しずつ寄ってくる雷鳴に
大きな期待を寄せて、ゆっくり走った
ここに落ちてきてくれなんて贅沢なこと言わないから
せめて水滴だけは打ち下ろして
ちゃんとイマを感じられることを
私に確認させて、って。

ゆっくりゆっくり走って
何人にも追い越されてたのに
黒雲は追いついてくれなかった
家に辿り着いてしまったから仕方なく
水道水を浴びせていたのに
その3分後に家の外でも同じ音が広がった

不運の夕立

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でんてぃすと

引出しの隅にあった診察券も
棚の奥から引っ張り出されたカルテも
画用紙の手触りで、端が黄ばんでいた
9年ぶりのドリル音
9年ぶりの緊迫感

クラシックが嫌いだったのは
この病院のBGMがいつもクラシックだったから
優雅なオーケストラの後ろから
電動のこぎりみたいな機械音が覆い被さってきた

物心ついたときから通わされて
乳歯も一本一本抜いてもらって
誰に恥じることもない歯並びにしてもらった
名前で呼んでもらって、
弟のことも気にかけてもらって
暖かい医院だったんだと、今なら感じられる

でもやっぱり、
自分の見えない自分の口の中を
あれこれと工作されるのは
恐ろしいものなのだ
ゴム手袋に覆われたその手が
もし1cmでも狂ったら
どこに、何が、刺さるのか。。

次の予約が決まってなかったら
また9年遠のいてしまうかも

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しろくま

294円也。

宮崎出身の友達曰く、
かき氷といえばこれ、らしい。
練乳が混じった氷の上に
小豆、桃缶、フリーズドライの苺、パイナップル、みかん
だったような。
コンビニで売り始めたのは、彼女が上京して次の夏だった。

ハーゲンダッツより高価。
確かに、トッピングのおかげで飽きはこないし
練乳のゴージャス感もある。

暑い外では甘すぎて
寒い部屋では冷たすぎ

九州の女にはなれない、と判明。
関東の女らしさがあるとも思えないけど。

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